自然葬(散骨)が注目されている理由として次のことが挙げられます。
1)火葬の普及・実施がほぼ100%に達している現在、公衆衛生上の問題が取り払われている。
2)仏教に帰依しているわけでもないのに仏式で執行される今の葬儀のあり方に疑問を持ち始めている。
3)遺骨を墓石の下に埋葬するには新しく墓地を購入しなくてはいけない。
4)お墓の管理や年忌供養などで子どもや孫に迷惑をかけたくない。
歴史をさかのぼってみれば、火葬が普及したのは昭和30年をすぎて火葬場が全国的も普及してからとなります。それまでは土葬が一般的でした。また一族が同じ墓に入るという習慣は、明治時代の半ば当時の政府が「家」の制度を強く奨励し始めてから後のことです。
その土葬にしても、江戸時代半ばから始まった慣習で、それ以前は火葬した遺骨を山や海に撒き、自然に還すという葬送法が一般的でした。墓石を建てその下に故人を埋葬するのは、特別な階級の人々だけだったのです。
そういう意味で自然葬は歴史的な回帰現象といえます。自然の中に神を求めた古来よりのアミニズムの感性は、現在もまだ確実に私たちの中に宿っています。こうした自然観が、死後人は墓石の下ではなく自然に還るべきという葬送の方法に親和を覚える意識となっているのかもしれません。
自然葬の希望者は年々増えつつあり、近い将来一般の方もとくに違和感を持たない埋葬方法のひとつとなることは確実だと思われます。
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