花まつりが催される4月初旬の時期は、農事の大切な節目であることからか、民間では仏教には関係の無い行事が各地で行われていました。
農村部では、野山で飲食をし、花摘みや野遊びをする風習がありました。摘んできた花は長い竹竿の先にくくり付けて庭に立てたり、門口にさしたりします。花が山の神様の目印であり、拠り所であると考えられるようです。奈良県の一部では「天道花(てんどうばな)」という、豊作を占う風習がありました。同様の風習は他の地域にもみられ、「高花」「夏花(げばな)」などがあり、いずれも豊作と無病息災を願うものです。
また、4月8日を花見の日としていた地方もあったようです。もともと「花見」は、春になって桜の木に降りてきた神様を料理と酒でもてなし、人間も一緒にそれをいただくことが、花見の本来の意味です。農耕開始前に山の神を田の神・作神として迎え、その年の豊作を願ったのでしょうか。
そのほかにも、山神の祭日や山開きにあてているところも多くみられます。また、墓参りの日とする地方もあります。このような風習が、日本独特の花まつりを広く定着させた背景の一因とも考えられています。
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