昭和30年代から40年代にかけて、献体希望者が集まらず解剖学実習に大きな支障を来したときがあったということですが、平成25年3月末日現在、 献体登録者の総数は259,709名を越え、登録者数の多い大学では、登録を一時見合わせているところも多くなっているということです。
登録が増加している背景の第一は、身寄りのない高齢者や葬式を行なう費用を捻出できにくい低所得世帯の増加、経済的な要因があります。 さらには、社会環境の変化(単身者の増加、核家族化、死者の高齢化など)、死生観の変化(死後の世界を認めないなど、「死」を理性的に考えるようになった)なども挙げられます。
ある新聞によれば、献体登録者の年齢は60代か70代が大半で、自分の死を思い描ける年齢になって、世のために何か役立てたら、として申し込まれるということです。 が、もちろんこれは建前が半分というところでしょう。
なお登録者増加の時期は、「家族葬」や「直葬」また散骨や樹木葬などの「自由葬」が一般的になり始めた頃と軌を一にしています。 「お葬式の簡素化」の背景にも、「献体増加」と同じ要因があることは間違いありません。
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